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肝臓は「沈黙の臓器」

肝臓は「沈黙の臓器」 肝臓は人間の生命の維持に必要な重要な臓器で、炭水化物とタンパク質と脂肪の代謝と貯蔵、体内の老廃物やアルコールなどの有害物質の分解と排泄、脂肪の消化に必要な胆汁の生成と分泌を行っています。
そして、肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。例えば、健康な人でも胃の場合は時には胃痛を感じることがありますし、下痢をして腸がゴロゴロすることもあります。また、走ると心臓の鼓動が早まり心臓に負担が掛かることが実感できます。

肝臓の場合は、飲み過ぎたから肝臓が痛むことも無ければ肝臓がゴロゴロすることもありません

しかし、肝臓の場合は、飲み過ぎたから肝臓が痛むことも無ければ肝臓がゴロゴロすることもありません。また、普段、我々が肝臓の働きを実感することもできません。
そして、恐ろしいのは肝臓が病に冒されても症状を実感できるのは、数年から数十年も掛かる場合があるということです。例えば、肝硬変の場合、初期の段階では全く症状はありませんが、数年後や数十年後に症状が出て来た時には既に手遅れになっている場合が多いのです。こういうところが、肝臓が「沈黙の臓器」と言われる所以なのです。

肝炎は我が国最大級の感染症

今や肝炎は我が国最大の感染症で特にB型肝炎とC型肝炎が問題となっています 今や肝炎は我が国最大の感染症で特にB型肝炎とC型肝炎が問題となっています。
そして、B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって引き起こされる肝臓のウイルス性の炎症を意味します。つまり、B型肝炎はインフルエンザや風疹などと同じ伝染性の感染症なのですが、死に至る伝染性の感染症ということではエイズやエボラ出血熱やデング熱と同様の恐ろしい病気なのです。
多くの場合、B型肝炎ウイルスに感染してもB型肝炎を直ぐに発症することはありません。一般的にはB型肝炎ウイルスに感染した人の中で、B型肝炎を発症する人の比率は10%以下と言われています。只、B型肝炎ウイルスが厄介なのは、何年後に何パーセントの人が発症するのかが解からないことです。
現在、B型肝炎ウイルスに感染しているキャリアー(保有者)は、全世界に約3億5,000万人で日本には約150万人居ると言われています。只、世界には血液検査をしていない人も多いので、正確な実数は解かりません。
そして、感染してキャリアーとなっても一生、B型肝炎を発症しない人が多い反面、中高年になって発症する人も居るのです。
また、B型肝炎ウイルス(HBV)の抗体ができた人でさえ、何かの要因で稀に発症する
ことがあります。中にはB型肝炎ウイルスの抗体ができて体内のウイルスを99%以上除去しても、後に発症する例も報告されています。
その意味では、B型肝炎ウイルスはステルスの様に肝細胞の中に潜み続け、数十年後に出て
来て肝炎を発症する厄介なウイルスなのです。
また、もう1つの問題は、未だにB型肝炎ウイルスを100%殺傷する薬や治療法が無いということです。従って、特にB型肝炎ウイルスキャリアーの約150万人の方々は、定期的な血液検査を行ってB型肝炎の特長と進行度をよく知り発症を食い止めることが必要なことは言うまでもありません。

B型肝炎訴訟

B型肝炎訴訟 B型肝炎のもう1つの側面はB型肝炎訴訟です。B型肝炎訴訟は国によって半強制的に行われてきた集団予防接種によってB型肝炎に感染した被害者が、国に損害賠償を求めている訴訟を意味します。
長く争われてきたB型肝炎訴訟は平成18年6月16日の最高裁判所の判決によって、B型肝炎ウイルスの感染原因が集団予防接種によるものであることが認定されました。
その結果、B型肝炎訴訟和解「基本合意書」が国と被害者間で交わされ、「B型肝炎特別措置法」が施行され国の補償が始まりました。
つまり、集団予防接種によってB型肝炎ウイルス(HBV)に感染したことが証明された人や発症した人は、程度によって600万円~3,600万円の国からの補償金を受け取ることができます。
しかし、全国の約150万人のB型肝炎ウイルスキャリアーの中で約45万人が補償の対象になると思われますが、訴訟の内容を知らない人が多いのも現実です。また、更に問題なのは、自分がB型肝炎ウイルスキャリアーだと気が付いていない人も多いことなのです。

B型肝炎訴訟の内容を理解し国の補償内容を把握する そこで、B型肝炎訴訟の内容を理解し国の補償内容を把握することは、全国約150万人のB型肝炎ウイルスキャリアーにとっては大切なことです。